子宮癌検診

子宮癌検診では子宮頚部からとった細胞を検査し、感染、炎症、癌やその他異常の有無を調べます。通常、子宮、膣および 卵巣に形や大きさの異常がないかを調べる骨盤腔内の触診検査とともに、膣鏡と呼ばれる器具を使って膣を広げ、膣上部および子宮頚部を観察します。浸潤癌に至る前に異常を見つけて治療するために、子宮癌検診と骨盤腔内の触診検査は女性の健康管理にとって重要なことです。

子宮癌検診は、外来ですることができる簡単手軽で痛みのない検査です。患者さんに診察台に横たわっていただき、膣を開くために膣鏡を挿入します。木製の匙や小さいブラシを使って、子宮頚部の周りや内部から細胞をとります。細胞はスライドガラスに塗りつけ、固定してから検査室に送り、顕微鏡で細胞をチェックします。

性的活動のある女性はみな子宮癌検診を定期的に受けるべきです。通常推奨されるやり方として、まず毎年受診して連続3回正常であれば、次回からは2年おきに検査を受けます。検査を受ける最もよい時期は最終月経の初日から数えて約10 -20 日後です。異常な細胞を洗い流してしまったり、隠してしまったりしないように、検査の2日前からは膣洗浄や膣錠、殺精子剤、膣へのクリーム、ゼリーといったものの使用をやめましょう。

癌もしくは前癌病変のために過去に子宮摘出術をうけた女性は、異常細胞を早期に見つけるために腟上部での定期的な癌検診を行うべきです。子宮筋腫のような非癌性病変のために頚部を含んだ子宮摘出術を行った女性は健診は必須ではありません。但し、子宮頚部上部子宮摘出術を行った女性は定期的な検査を受けるべきです。

異常所見すべてが癌を意味するわけではないことに注意して下さい。子宮頚部の表面の細胞は時々異常がみられますが、癌とは限りません。異常な状態が必ずしも癌になるわけでなく、一部について癌の可能性が示唆されるのです。

以下のようなものが異常として扱われます。

異形成---前癌病変かもしれないが、癌ではありません。異形成では、細胞の外観に連続的な変化があり、顕微鏡的に異常所見が見られます。軽度、中等度、高度の3段階に分けられます。

扁平上皮内病変(SIL---子宮頚部の表面の細胞の異常な変化をいいます。高度(正常細胞ときわめて異なる前癌細胞)と軽度(大きさ、形、細胞数における初期変化)に分けられます。

子宮頚部上皮内細胞異型(CIN ---異常細胞を含んだ子宮頚部の細胞層の厚さで3つのグレードに別れます。

注:施設により前癌病変の呼称として、概念の違いによるこれら3つの分類が使用されています。従ってこれらは異なるものをさすのではなく、それぞれ同じ病態を意味します。アメリカではSILが、日本では異形成が主に用いられます。(大西)

断定できない非典型上皮細胞(ASCUS---上記の条件を満たさない異常をいいます。この中の約5-10%は精密検査で高度の扁平上皮内病変か浸潤癌が見つかります。

上皮内癌---表面の細胞だけで、より深い組織の層に広がっていない、浸潤癌以前の癌をいいます。

浸潤子宮頚癌---異常細胞が子宮頚部のより深層または他の組織や器官へ広がっているもの。

はっきりしない小さな異常があるとき、医者は再検査をします。但し、その異常が重大なものではっきりしたものならば、膣拡大鏡で再検査し、必要な場合には生検を行います。

最後に、一般に子宮癌発生の主要な危険因子と考えられているヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)についてお話しします。このウイルスは100 種以上あります。性交渉で感染し、陰部にイボ状のできものを引き起こすことがあります。このウイルスのいくつかは子宮頚癌に関連します。HPVの他の種には 手や足でイボを作るものがあり、これらは癌は作りません。HPV の感染は非常に一般的ですが、未治療のHPV 感染を持った女性の数パーセントが子宮頚癌発症のリスクを持っています。HPV は若年者とくに10代後半および20代の女性の間ではより感染率が高いです。HPV は性交渉を通して主に広がるので、性交渉により開放的な若い年齢層の女性や複数のセックスパートナーがいたり、パートナーに他の相手がいたりする女性の場合、リスクが増加します。HPV感染は子宮頚癌のリスクを増大させるので、感染がある場合、子宮粘膜の軽度の異常も高度な異常や癌に発展する可能性があります。HIVに感染した女性もHPV感染および 頚部癌発生のハイリスク者となります。

日本人会診療所

     Dr Yap Ai Lin

大西洋一訳

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