
日 本 人 会 診 療 所
更年期とホルモン補充療法
更年期とは?
女性において体からの女性ホルモンの分泌が減少する時期(閉経周辺期)をいいます。閉経後は、毎月の月経や妊娠の可能性を気にする必要が無くなります。しかし閉経の前後数年(閉経周辺期)は、のぼせ、睡眠障害、膣の乾燥などのわずらわしい症状があるかもしれません。女性ホルモンの減少は、心疾患、脳血管障害、骨粗鬆症といった深刻な健康問題についても、より高いリスクをもたらします。
ホルモン補充療法(HRT)とは?
医師は患者の更年期の症状を軽快するために、またより深刻な疾患予防のために、時に女性ホルモン製剤を処方します(HRT)。しかし、HRTにはその効果だけでなくリスクも存在します。ですから、多くの女性には閉経後も25-30年の生活があるので、HRTを行うにあたっては(特にその長期的な作用については)十分な検討がなされなければなりません。
HRTには以下のような利点とリスクがあります。
利点:
骨粗鬆症のリスクの減少
のぼせや夜間発汗などの諸症状の改善
心疾患のリスクの減少の可能性
気分と精神の健康改善の可能性
リスク:
子宮体癌と乳癌のリスクの増加
むくみやイライラ感といった、好ましくない副症状の可能性
血栓症や肝疾患のリスクがある人には危険
あなたはHRTをすべきか?
かかりつけの医師と相談した後にはじめて、この質問について最も適切な答えが見つかります。
まず最初のステップは、更年期症状でどの程度悪影響を被っているか判断することです。あなた自身の病歴と心疾患、骨粗鬆症、乳癌のリスク、そしてこれらの疾患についての家族歴についても考えることが必要です。もし、肝疾患や高中性脂肪血症、静脈血栓症の既往歴、乳癌の家族歴などがあるようなら、おそらくHRTを行うべきではないでしょう。
第二に、禁煙、運動、減量といった生活習慣の改善を試みるべきです。そして必要なら、心疾患や脳血管障害などのリスクを減らすために、高脂血症や高血圧に対する内服治療も行います。日常運動することによって、のぼせの程度や頻度は軽快し、循環の改善、ストレスの発散にもなるでしょう。
第三に、食事療法を行うべきです。心疾患や脳血管障害など深刻な疾患に対する予防のため、たくさんの果物や野菜をとるべきです。脂肪を減らすことは重要ですが、一方で“健康的な脂肪”を食事に取り入れることも重要です。ツナ、イワシ、サーモンなど魚を毎週食べることで、悪いコレステロールを低くしたり、関節痛の軽快、鬱症状の改善が期待できます。動物性蛋白や赤身肉、コーラのような炭酸飲料は、リンをたくさん含んでおり、骨からカルシウムが排出される原因となり得ますので制限しましょう。大豆は多くの更年期症状を改善し、ホルモンに関係した癌のリスクを低下させるだけでなく、コレステロールも低下させ、骨密度やミネラル含有量上昇の手助けとなるので、積極的に食事に取り入れましょう。
第四に、癌のリスクが全くない、更年期症状に有効な自然の原料から作られた薬があります。このような安全で効果的な薬を勧められることもあり得るでしょう。
そして最後に、あなたが今HRTについてどう決断しようと、それで終わりではありません。治療はいつでも始められるし、やめることもできるのです。しかし、もしHRTをやめれば、その効果も同時になくなります。HRTを始めるかどうか、もしくは続けるかどうかは、毎年の健診のたびに、医師と共に再検討すべきです。閉経後は胸部と婦人科の健診、すなわちマンモグラフィと子宮癌細胞診(PAPスメア)は毎年続けることが重要です。
日本人会診療所
Dr Yap Ai Lin
大西洋一訳