タミフルの備蓄に関する手続き及び留意点について

皆さまからいただいた多数のご質問、ご要望など貴重なご意見を検討いたしました結果、方針を大きく転換する必要性があるとの結論に達しました。下記に、変更点、新たな連絡事項を記しております。タミフルの備蓄をご希望される方は、ご精読の上、注文書の作成をお願い申し上げます。

1.日本人会を通じて行なった各企業分の備蓄日本人会共同備蓄分の使用順につきまして

どちらもシンガポール政府によるタミフルの供給が追いつかない時および、供給がかなり、不足してきた時に使用することになります。 (理由:供給が追いつかない時と、供給が不足してきた時は同じと思われるため)

検討の結果、下記のようになりました。ご理解いただければ幸いです。

1.      日本人会を通じて自社分の備蓄をされた企業の場合にはこの自社分の備蓄分から先に使用させていただきます。

2.      日本人会を通じて自社分の備蓄をされなかった企業の場合には、日本人会共同備蓄有分を使うことになります。

3.      もし、日本人会共同有備蓄分が使い尽くされ、なお且つ、各企業の分がまだ、残っている場合には、公共の福祉を優先する観点から、各企業分も日本人会共同備蓄有分と同等の扱いとします。(つまり、 日本人会共同の本来の共有分がなくなった段階で、各企業分というものはなくなり、すべて日本人会共同備蓄有分に供して頂くことになります。

説明会の時と順序、内容が大きく変わりました。ご注意くださいますようお願い申し上げます。尚、この決定は日本人会理事会でなされましたことをお伝えいたします。

この変更に伴い、共有分への寄付は特には募らないことといたしました。

ご希望の方は別途、お知らせいただければ幸いです。

2.お願い1

今回のシンガポールロシュ社からのタミフル購入の方式は、原理的にはシンガポール内のどのクリニックでも行うことができます(10/17にシンガポール厚生省担当官に再確認しました)。

講演でご説明いたしましたように、購入したタミフルを実際に服用するには、医療機関での診察を経る必要がありますが、今回の講演会にて購入希望数が予想以上の数に昇りそうなことがわかりました。日本人会において備蓄をした患者さんはその備蓄分を使うとき、つまり処方のためには必ず日本人会クリニックに来なければならなくなります。しかし、実際は、小さな日本人会クリニックだけでは、膨大な患者数に対応することが困難となります。

従って、自社にすでに現地産業医がいらっしゃる企業の方、または契約医療機関がある企業の方は、なるべく、そうした施設にて備蓄を進めて下さいますようご協力お願い申し上げます。

また、大量の備蓄を希望される企業の方は、日本人会に患者さんが集中することを避けるため、また、日本人会クリニックが機能しなくなる場合のことも考慮して、複数の医療機関を利用していただければ幸いです。患者さんが分散することは待ち時間を少なくし、患者さんの診断、治療の面からも望ましいことに思われます。

3.備蓄対象(ローカルの方向けの備蓄)につきまして

多くの企業の方が、ローカルスタッフのための備蓄も考えていらっしゃることがわかりました。何とかそれに応えたいと考えてみましたが、邦人の10倍以上のローカルスタッフを抱える企業も多く、それだけ多数の患者さんを実際に診療することは当クリニック一つだけでは困難であると考えます。ローカルの方のための分の備蓄をしますと、大量のローカルの方の日本人会クリニックへの受診を必然的に促すことになり、これはマンパワー、施設の大きさからも当院が耐えられるものではないと予想されます。

当クリニックの常勤医は日本人1名、シンガポール人1名ですが、日本人医師はシンガポール政府の規定により、日本人しか診療できません。よって、ローカルの方を診ることのできる医師は日本人会クリニックでは1人だけしかおりません。

今回のロシュの方式による備蓄は、原理的にはシンガポール中どこのクリニックでも可能(10/17にシンガポール厚生省に再確認いたしました)であるため、ローカルの方に日本人向けに作られた当リニックの受診を促すようにする必然性はないと考えます。ローカルの方用の備蓄はローカルのクリニックを利用していただきますようお願い申し上げます。

念のためですが、日本人会がframe work に入ったということは、Alert REDの段階で、制度上は、誰でもインフルエンザの治療のため、当院を受診することは可能ということです。ローカルの方でも可能です。タミフルはシンガポール政府の在庫があるうちはそこから供給されます。

このことと、ローカルの方の分を備蓄して結果的にローカルの方の受診を促すことは別の話ですので、混同なさらぬようにお願い申しあげます。

4.タミフルの申込数につきまして

講演会において接触者トレースについてお話しいたしましたが、備蓄数を考慮される上で、もう少し補足いたしたいと思います。接触者トレースとは、感染者が現れた場合に、その人がほかにどんな人と接触して感染を広げた(または広げる)可能性があるかということを調査するもので、それをMOHに報告することによって、接触者のための予防内服用のタミフルが支給されるというものです。

しかし、感染があまりに拡大してしまった段階では、患者さんもどこから感染したかもわからず、接触者も膨大な数に上るため、これは、今までの接触トレースと予防内服が効を奏しなかったことを意味します。そのため、感染がある程度以上に広まった段階、すなわち、Alert REDのある時点で接触者トレースはもうやっても意味がないというわけで、中止されることになっております。このトレースをしないということは、接触者のリストも出さないことになりますから、当然予防内服のためのタミフルの供給もなくなるという可能性が高いと思われます。つまり、タミフルはもっぱら発症した患者さんのためにだけ処方されることになると考えられます。

それならば、自前で予防内服用のタミフルを今のうちにたくさん買っておこうと思う方も多いと思いますが、Alert REDにおいて予防内服に意味を見出すのが難しい理由が、経済的な面と予防効果という医学的な面からの2つあります。この2つは密接に関係しています。

Alert REDでは患者数はすでに国内にたくさんいる状況ですから、患者さんが1人出た時に接触者に予防内服をするという方針を貫くためには膨大な数のタミフルを用意しなくてはならなくなくなります。既にそれまでの患者囲い込み、予防内服がうまくいかなかった段階ですから予防効果にも疑問が出て来ている段階です。この段階のために予防内服するための薬を大量に備蓄するには経済的にも見合わないように思います。

また、予防内服しても予防できる期間は薬を飲んでいる10日間にすぎません。内服終了後はまた、感染の危険が生じます。感染者が出た時に内服するとしても、社内で患者さんが出るたびに、同じ人が何度も予防内服しなくてはならない場合も少なからず出てくるでしょう。しかも、たまたま、内服してない時期に市中感染してしまうことは当然、避けられません。結局、もし、内服で予防するとしたら、ずっと薬を飲み続けなくてはならないことになります。しかし、皆がそれをすることは供給上も、副作用の面からも到底不可能に思われます。

実際、みんながタミフル飲んでも感染がどんどん拡大するようなら、それはタミフルの予防効果も十分でなくなってきていることを意味するように思います。そうなれば予防内服も当然意味はありません。

実際、Alert REDになったということ自体、それまで行ってきた予防内服による患者封じ込め政策がうまくいかなかったことを意味するものです。

以上のような点で、Alert REDにおいて予防内服に意味を見出すのが難しい面があり、よって、予防内服用に備蓄しておくべき数を判断する難しさがあると思います。

実際にタミフルの効果を信ずるならば、発症したあとに早期にタミフルで治療するとすれば、自身が新型インフルエンザに対する免疫を獲得できますので、以後、同じインフルエンザにかかることはなくなります。これは経済的にも、その人にとっても得なことになります。

ですから、タミフルの効果を期待して、Alert REDにおいては予防内服はせず、実際に感染したあとにタミフルで早期に治療するという手が最も賢いのかもしれません。

5.タミフルの治療量

現在、インフルエンザの治療には、一日2錠、5日間で合計10錠が標準治療量です。しかしながら、新型インフルエンザに対処する場合にはこの量を2倍にしたほうがよいとする報告も出されるようになって来ました。備蓄量を決定する際のご参考になさってください。

6.今回購入予定のタミフルの有効期限

3年程度の有効期限があるものとなる予定です。有効期限がいくつかある場合には、できる限り按分して、割り振りますが、多少の不公平が出る可能性があることは御承知おき下さい。

7.今回購入タミフルの保存期間

今回御購入のタミフルが法定上の有効期限内に使用されなかった場合といたしますと、現在の予定では法定上の有効期限終了後も保存し、有効期限終了後5年を経たところで破棄する予定です。ですから、今から計算しますと7-8年ぐらいは保存することになります。なお、状況の変化により、変更が必要となる場合にはあらかじめ御連絡いたします。

最後に

新型インフルエンザはまだ出現していない疾患です。流行の強さや病気の重症度も死亡率も不明です。現在の対策は過去のインフルエンザの大流行から類推された結果作られたものですので、ある程度の信頼性はあるものの、確実である保証はありません。

どんな場合でも確かなことは、一人一人の方が、公衆衛生的努力をすることだと思います。最初のひとりが患者さんにならなければ流行は起こらないのです。

皆さんで意識を高め、流行を乗り切りましょう。

04/11/2008

シンガポール日本人会クリニック 日暮 浩実

お申し込みを希望される方は、別途e-mailにてお送りいたします注文書に必要事項を入力の上、clinic@jas.org.sg まで、添付ファイルにてご送付下さい。(詳細は、別途e-mailでお送りする注文書をご参照下さい。)

申し込み締め切りは、20081212日( 金曜日)17時まで(必着)

とさせて頂きます。

従いましてタミフルの発注は、12月下旬となる予定です。

ご質問は、e-mailclinic@jas.org.sg にてお受けいたします。

ご質問が多数に及ぶと思われますので、お電話での対応はいたしません。

どうぞ、あらかじめ、御了承くさい。

質問とそれに対する答えは、ホームページ上の「Q&Aコーナー」に随時掲載させていただきます。まず、このコーナーを御覧頂いてから、ご質問をしていただきますようお願い申し上げます。

また、ご要望に関してましては、今回は反映できませんが、将来の参考といたしますので、ご質問とは別に、上記アドレスまでお知らせ頂ければ幸いです。

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