
今回は、心療内科を訪れる患者さんの症状を挙げてみたいと思います。
頻度の高い順から列挙してゆきます。
(1)元気が出ない
多くの患者さんが「最近、元気が出ないです」「ここしばらく体調が良くないです」という訴えをお持ちです。診察中に「自分が一番元気なときに比べて、現在何割くらいの生活ができていますか?」と伺うと、「50%・・・」「20%。」「ほぼ0に近い・・5%以下かな。」など答えは様々ですが、非常に活力が低下した状態で、なんとか日常の決められたことをこなしている方々が多くあります。
元来、まじめで頑張り屋の方の場合、こんな状況でも家族や職場の仲間に迷惑だけは絶対にかけまいと、自らの体に鞭を打ってその役割をこなそうとしてしまい、悪循環に陥り易いようです。
(2)食欲がない。
これも、心療内科で多く見られる症状です。特に、内科的検査・治療を十分受けたにも拘わらず完全に消失しない胃腸症状は大事なサインです。
「大事なテストの前に、食欲が低下する」「スポーツの試合の最中には空腹を自覚しない」こんな例は、皆さんが経験していることだと思います。人間の自律神経の一つ、交感神経が興奮すると胃に流れる血液の量が減少し、胃の運動をストップさせる働きがあります。精神的緊張が長期化したり、過剰適応の期間が長引いたりすると、胃を支配する神経のバランスが崩れ、胃腸の調子が乱れるようです。
内科では、主に胃の内側の粘膜の異常が治療対象となります。胃を支配する神経や血流・自律神経のバランスが崩れている場合は、別の観点からの治療が必要となることもあるようです。
(3)胸がつまる。息が詰まる。動悸。
胸部の不快感も重要な症状です。シンガポールのように、比較的恵まれた住宅環境で生活できていても、一日中外出もせずに過ごしていると、「息が詰まり」ますね。この「息の詰まる」状態が解消されず、長時間続くと、肩が凝ってきたり、イライラしてきたり、時には涙もろくなってしまうこともあります。
子供達にも同様の症状が出ますが、小さい子供達は上手に言葉で表現できないため、「必要以上にため息を吐く」「息を深く吸い込こむ」「呼吸を意識的に止める」等の変化に現れることがあります。
(4)生活を楽しめない。シンガポールでの生活に自信がない。
来星したばかりの方や生活のリズムに乗りきれないときに起こりやすい症状です。また、自分の予定していた期間よりもシンガポール生活が長期化し、来星当初にできた友人が一斉に帰国してしまった後などにも、こんな気持ちが生じやすい様です。
子供達には、「友達の家に行きたがらない」「積極的に外出しない。人と交わらない」「家にいることを極端に好む」等の変化が現れます。
時に「自分は楽しむためにシンガポールに来たわけでは無いので、楽しめなくても構いません。」と言う意見も伺います。ご自分の意志に拘わらず、シンガポールに住むことになってしまった方々も少なからずいらっしゃると思います。シンガポール生活を楽しめなくても、以前の自分と変わらず笑顔があり、心をリラックスさせるゆとりがあれば、心配は要らないようです。
(5)眠れない。十分寝ているのに、疲れがとれない。
眠りに関する相談も非常に多くあります。単身赴任でシンガポールにいらした方や出張の多いご主人を一人で待っている奥様など眠りの環境が一変した場合には頻発します。
日中の暑さを考えると、きちんとした睡眠をとっていないと生活のペース全体が狂うことにもなります。
(6)不安がある。落ち着かない。イライラする。
特にはっきりとした理由がないのに、不安を感じ、感情が乱れる場合があります。家族に不安を告げたり、不満をぶつけたりして解消することも多々ありますが、長期化する様な場合には症状の一つと考えます。
感情をコントロールする機能が成熟し、定常状態にある大人の場合は、感情の揺れが他者からも評価し易いのですが、小児や思春期の子供達の場合には、その評価が非常に難しくなってきます。
この他にも、日本が懐かしい(ホームシック)・気分が落ち込む・集中力がない・頑張りがきかない・人に会うのが億劫・人疲れが著しい・過食・潔癖症がひどくなる・頭痛など、様々な症状について相談があります。時には、症状の裏に身体疾患が隠れていることもあり、全てが心療内科でカバーされるわけではありません。また、ホームシックなど、海外に生活する多くの人が経験している状態もあり、全てが治療の対象にあるわけでもないのです。
上記の症状が、2-3つ当てはまり、「ちょっと、このままだとしんどいな・・・」と感じられた場合には、心療内科が役立つこともあるようです
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