
パニック障害
今回はパニック障害を取り上げます。シンガポール日本人会診療所では、受診頻度の高い疾患の一つであると同時に、経過が良好な疾患の一つでもあります。
こんな症状が一般的です。
症例:Aさんは、ここ数日間非常に忙しい日々を送っていました。疲れはピークに達していましたが、あと2日頑張らなくてはならない状況でした。そんな時、用事があって非常に混雑したシッピングモールに出かけました。その場の空気は淀んでいて、建物内の温度もかなり高く感じました。加えて、雨上がりのため湿度も高かったようです。最初は、着衣を調節することで対応していましたが、次第に息苦しさ・気分の悪さを自覚するようになりました。それと同時に、発汗が多くなり、胸がドキドキしてきました。これは、何処かで休もうと、建物の外に出ましたが、そのころには手先が冷え、ふらつくようなめまいを感じていたため歩くことが出来なくなり、「自分はこのまま大変なことになってしまうのではないか?」という不安に襲われてしまいました。その場で休憩すること15分。症状は段々と和らぎ、自力でなんとか動けるようになったのでした。
このように、パニック発作は、ある時突然に発症し、動悸・呼吸困難感を中心に、発汗・震え・めまい感などの症状を呈します。この時、大きな不安感を伴うことも特徴です。パニック発作は、一生涯で100人中7-8人の確率で発症すると言われています。
頻度は高い方の疾患です。そして、どんな健康な人にも発症する可能性があります。
当診療所では、10代後半から50歳までの方に多く見受けられます。
最近では、空気中の二酸化炭素濃度が高い状態などでは、パニック発作が生じやすいと言う報告もあります。先程の症例のように、混雑した建物内・混雑した電車あるいは窮屈な飛行機内など、空気の循環が良好でない場所で最初の発作を経験する方が多いようです。
一度発作を経験すると「あ?、またあんな苦しい発作が起きたらどうしよう・・・」という漠然とした不安感を抱えてしまうようで、些細な不安が発作を誘発してしまいます。一度「発作の連鎖?悪循環」にはいると、自分ではなかなかコントロール出来ず、アッと言う間(10分以内)に発作が生じてしまうようです。
現在では、脳内のセロトニンを中心としたホルモンをコントロールすることで、かなりの確率で治癒が可能です。治療の一番のポイントは、発作を絶対に起こさないこと、もし発作になりそうであれば初期の段階で発作を止めてしまうことが重要のようです。「癖になってしまっている」不安の連鎖を早めに断ち切ること、そして、不安に敏感になっている脳細胞をリラックスさせてあげることが治癒への近道です。この
ため、パニック止めと言われる内服薬の併用も行います。
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