
日 本 人 会 診 療 所
日本人会診療所より予防接種についてのお知らせ(その3)
ポリオ
ポリオのワクチンは経口の生ワクチンで、日本では3ヶ月以降の乳児に計2回行います。日本では1960年に史上最悪のポリオ流行があり、翌年からワクチンが導入されました。以後1962年より流行は激減し、ほぼ野生のポリオは絶滅しました。1993年を最後に日本では野生のポリオは確認されておらず、外国からの輸入もありません。日本ではポリオは根絶したと考えられます。以降散発する少数例のポリオ患者は全て不幸にもワクチン株による患者です。これは接種数100万から300万人に1例と言われており、世界中どこでも避けられない生ワクチンの宿命なのです。WHO(世界保健機関)ではポリオ根絶の目途がたてば、生ワクチンを中止し、不活化ワクチンに切り替える予定です。アメリカでは既に2000年から不活化ワクチンのみの接種になっています。
ポリオワクチンを複数回接種するのは、肝炎ワクチンや三種混合などが接種回数に従って抗体価が次第に上がるのとは理由が異なります。ポリオには3種類の型があり、1回の投与では全てに免疫ができるとは限らないのです。繁殖したワクチンウイルスについてのみ免疫ができるわけですが、1回の投与ではワクチンウイルス同士が干渉しあい、全てが繁殖するわけではないのです。2回目の投与では1回目には免疫のできなかったワクチンウイルスのみが繁殖して免疫ができるのです。したがって、WHOでは4回接種を原則、少なくとも3回接種としています。シンガポールでは三種混合と一緒に行うので、通常3回接種(6歳、12歳でも行うので最終的には計5回)です。日本では緊急接種の2回法に始まり、以後それが定着してしまったわけですが、根絶の現状を考えるとそれでも十分な効果があったと考えられます。
ポリオが根絶したと考えられる日本では、ワクチンによるポリオ患者をなくすためにもそろそろ不活化ワクチンに切り替えるべきで、三種混合とセットにした四種混合注射にすべきでしょう。
シンガポールでも1997年以降ポリオ患者の発生事例はありません。不活化ポリオワクチンを含んだ四種混合ワクチンが主な病院施設で導入されつつあります。当院でも一時、四種混合をすすめていましたが、希望者がほとんどなかったため結局現在では扱っておりません。医学的な見地から現状を考えると不活化ワクチンに切り替えるべきでしょうが、日本の制度が変わらないと変えたくないと言うのがお母さんたちの心理のようです。
Q:ポリオワクチン服用後、嘔吐してしまいました。予防接種はやり直すべきでしょうか。
A:服用後30分を過ぎていればワクチンは既に吸収されたと考えていいですが、30分以内に嘔吐した場合にはあらためて服用しても問題ありません。嘔吐を避けるため、服用後30分は飲食させないようにしましょう。
補足ですがワクチンウイルスは腸管内で増殖します。ウイルス性の下痢などでは、原因ウイルスがワクチンウイルスに干渉して効果が出ない可能性があります。下痢をしている場合は治ってから受けるようにしましょう。
日本人会診療所 大西洋一
この記事に関するご意見、ご感想はFAXまたはE-mailで
クリニックまでお寄せ下さい。
FAX 64671298 E-mail: clinic@jas.org.sg
ご相談がありましたらクリニックにお越し下さい
![]()