日 本 人 会 診 療 所

 

日本人会診療所より予防接種についてのお知らせ(その1)

ツベルクリン反応とBCG

 日本は他の先進国に比べ結核患者が多く、乳幼児、および小学1年生、中学1年生を対象にツベルクリン反応、BCGを施行してきました。ところが、今回WHOの勧告を受けてついに日本でも乳幼児を除きツベルクリン反応、BCGが廃止となります。シンガポールや香港では既に一足早く廃止になっています。

BCGは結核菌に対するワクチンで、乳幼児に対する結核性髄膜炎、肺結核の予防に有効であることは世界的に明らかになっています。

ツベルクリン反応は結核菌に感作されているかどうか(結核にかかったりBCGを接種して、結核菌に対する細胞性免疫があるかどうか)を調べる検査です。感作されていなければ陰性、されていれば陽性となります。現に結核感染がある場合は強く感作されているので、強陽性になることが多いのです。

BCGの集団接種の目的は、初回接種については、発病の防止と、仮に発病した場合に重症化を防ぐことです。これについては先ほどもお話ししたように、乳幼児にはきわめて有効です。一方、再接種については初回接種の効果減弱を補強する目的で行われていました。ところがこれについては有効性が科学的に証明されていないのです。一般にBCGの効果は、15年と言われています。したがって、初回がきちんと行われていれば、少なくとも小学生の再接種は必要ないようです。中学生の再接種については、専門家の意見のなかには、必要との見方もないわけではありません。

廃止となる理由はもう一つあります。日本では集団接種がひろく行われているために、もしも結核感染が疑われ、ツベルクリン反応を行って結果が陽性となった場合に、それがBCG接種による陽性なのか真の感染による陽性なのかが判別困難なのです。廃止となれば、判別が今より容易になります。

ツベルクリン反応集団検診については、陰性者を見つけだしてBCG再接種を行うことと、強く反応を示す人で結核感染者がいないかどうかを調べるという二つの目的があります。ところがBCGが廃止となれば、前者の理由はなくなります。後者については、意見の分かれるところです。

ツベルクリン反応は、感作されたばかりの時には強い反応が出ます。そして時間とともに反応は鈍くなっていきますが、その後ツベルクリン反応を行うと免疫が呼び起こされ、それ以降はしばらく、再びより強く反応するようになります。ですから、ツベルクリン反応を行っていると、先ほどのBCG同様に、万が一結核の疑いがもたれた場合の判断に影響するのです。

したがって、集団検診で疑いのない人にまで一律に検査するよりは、結核感染が強く疑われる状況まで検査はとっておこうというわけです。

 Q:乳幼児期にBCG接種はしていますが、小学校でのツベルクリン反応が陰性でした。結核に対する免疫がないのではと心配です。BCGを接種しなくてもいいのでしょうか。

A:ご説明の通り、BCGの効果は一般に約15年といわれています。ツベルクリン反応は時間経過で鈍くなるので、陰性だったのはそのためでしょう。ただし、BCGの接種が適切でなかったり、個人差という問題もあるので、本当に感作されていない可能性も否定はできません。心配であればBCG接種を行ってもいいでしょう。その際には再度ツベルクリン反応をすることをおすすめします。二段階法といって、はじめのツベルクリン検査で免疫細胞が呼び起こされ、二回目に本来の反応を示します。これで陽性と判定できれば、感作されていると考えられるので再接種は必要ありません。

日本人会診療所

大西洋一

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