
咳について(2)
乾性(乾いた咳)のでるメカニズムについて前回は咳受容体についてお話をしました。今回はもう一つの原因である、気道過敏性についてお話します。
気管支の周囲は薄い気管支平滑筋という筋肉で囲まれていますが、その筋肉が収縮し易くなった状態を気道過敏性の亢進と考えています。そしてこの気道の収縮が咳を誘導します。気管支喘息もこの気道過敏性が原因で咳がでるといわれています。一方、咳受容体の感受性は気管支喘息ではどうなっているかと言うと、最近の研究によれば健康な方と差異が無い事が知られています。即ち、咳受容体と気道過敏性は独立した咳の原因と考えられます。
最後に乾性の咳に対する治療を考えますと咳感受性の亢進や、気道過敏性の亢進している時には、通常の咳止めが効きません。そこでそれぞれにあった治療薬を考える事になります。通常の咳止めが効かない咳を疑う症状としては、
1. 早朝、就寝時に悪化することが多い。
2. 温度の変化、湿度の変化で誘発される。
3. 喫煙、会話、運動により誘発される。
があります。咳が長期間に及ぶ場合はまず、胸部X線写真と血液検査を行い異常が無い事を確認し、まず気管支拡張薬を投与してその反応を見ます。気管支拡張薬は主に気管支喘息の治療に用いる薬ですが、気道過敏性が亢進している状態の咳止めとして非常に有効なことが知られています。またこの治療が有効であれば逆に気道過敏性が亢進していることになり、治療的診断としても使われます。気管支拡張薬が無効であれば、咳受容体の感受性亢進を考え、抗アレルギー薬を使用します。
気管支喘息でないのに、気管支喘息の薬を飲む事に抵抗があるかも知れませんが、普通の咳止めが効かない場合にも劇的に奏効することがあり非常に良く使われています。長期間咳が続く時は是非当院にてご相談下さい。
日本人会診療所
吉田泰司
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