
医師 日暮 浩実
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毎年、小学校や幼稚園でセロテープ法によるぎょうちゅう検査が行なわれます。陽性(虫がいる)となるお子さんも決して少なくはありません。 ぎょう虫症は普通は生命にかかわるようなことはありませんが、かゆみがあり、またそのために、睡眠が浅くなって、昼間、集中力が出なくなったり、落ち着きがない、不機嫌になったりという症状が出たりします。結果として学業に影響を及ぼすこともあります。他の人にも移りますので退治しておきたいものです。 |
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シンガポールで日本人子弟が通う教育施設と日本の厚生労働省発表の日本での全国調査(全ての寄生虫卵陽性者を含んでいますがほとんどはぎょうちゅうと考えられます)を比較してみますと、以下の表のようになります。どちらも陽性者の割合は減ってきてはいますが、統計上はシンガポールでは日本国内に比べて陽性者の割合がかなり高いことがわかります。 また、表には示しませんでしたが、幼稚園では年少組より、年長組のほうが陽性者が多く、小学校では学年が低いほうが陽性者の割合が高い傾向にあることがわかっています。幼稚園では年長になるほど活動性が増し、仲間との接触によって広がっていくことを反映しているのでしょう。小学校では年長になるに従い、清潔さへの理解が進み、陽性率が下がっていくのではないかと思われます。 統計の取り方や背景に違いがあると考えられますので日本国内とシンガポールで、本当にこれだけの差があるかは、断言はできませんが、陽性とわかったら速やかに治療することが大切です。治療は薬を飲んでいただければ、90%以上の方が治ります。 しかし、いくら薬を飲んでもなかなか卵がいなくならないお子さんがいらっしゃいます。それは、どうしてでしょうか?薬の効かない特殊なぎょう虫に感染したのでしょうか? そうではないと考えられます。その子も誰か、他の人から感染をもらったのですし、家族内の他の感染者が治る例が多いことを考えると特殊なぎょう虫に感染したのではないことがわかります。 |
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ではなぜ、治らないのでしょう?それは再感染しているからと考えられます。このお薬は卵や幼虫にはあまり効きませんので飲むタイミングが重要となります。お薬は10日から2週間の間隔をあけて、2回、飲んでいただくことになります。間隔が適正でないとまた、虫が育ってきてしまいます。 成虫は、夜間、肛門から出てきて1時間に7,000-10,000個もの卵をお尻の周囲に産み付けます。産卵を終えた母虫は体に戻ることなく、そのまま死んでしまいます。ですから、卵が人の口に入らなければ薬を飲まなくてもぎょうちゅうは自然に体からいなくなるはずです。ところが、夜間に無意識に掻いた手や、爪に卵がくっついていてお子様が手や爪をそのままなめたり、また、下着やシーツに落ちた卵を吸引したりして容易に再感染してしまいます。卵がついた手でドアノブを触るとそこから次の人に感染することもあります。卵は気温にもよりますが長い時は40日以上も生存が可能です。ですから、一時的に体から成虫がいなくなっても、感染の機会はすぐにはなくならないのです。 |
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ではどうすればよいのでしょう? 1.まずは、お子さんの爪はこまめに切り、手を良く洗いましょう。 2.治療薬は家族全員で飲みましょう。 3.お薬をお飲みになった後は2週間以上は念入りに、部屋の掃除を行なうこと、この際には掃除機などで吸引することが大切です。お風呂場の脱衣場、トイレなども念入りに掃除しましょう。洋式トイレの便座も忘れずに。 4.また、卵は紫外線に弱いので、布団は日向に干すことが大切です。この時、はたいたりしないことが大切です。はたきますと、お母様自身が吸引したり、床に卵が落ちることになります。下着も日向に干し、乾燥機にかけると良いでしょう。 5.また、陽性のお子さんは朝、起きたら、すぐに、お風呂場でお尻をしっかり洗い、清潔な下着に着替 えることが大切です。 |
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千葉大学医学部卒、日本医師会認定産業医、日本内科学会
日本呼吸器学会、日本結核病学会、日本宇宙航空環境医学会所属