
医師 日暮 浩実
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いびきがうるさいと言われたことはないでしょうか?寝ている間、呼吸が止まっているといわれたことはないですか?昼間、抑えがたい眠気に襲われることがしばしばありますか? こうしたことがある方は睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。 抑えがたい眠気は、事故につながります。それは時として重大な事故となります。日本では2003年、山陽新幹線の運転手が新幹線を運転中に居眠りをして列車を緊急停車させたという事例がありますが、アメリカのスリーマイル島の原発事故、アラスカ沖のタンカーの座礁事故、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故などの重大事故もこの疾患が関連しているとされています。また、一般にこうした疾患を持つ方が交通事故を起こす確率はそうでない方の7倍あるとする報告もあります。 |
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この疾患にかかっている方はアメリカでは人口の5%以上、日本でも2%はいるとする調査がありますが、実際に治療を受けている方はほんの一部にしか過ぎません。 睡眠時無呼吸症候群は、一晩7時間の睡眠の間に無呼吸が30回以上、または1時間に5回以上無呼吸、低呼吸があるというのがひとつの定義です。(無呼吸とは10秒以上続く呼吸の停止のことです。低呼吸は10秒以上続く50%以上の換気の低下のことでこれは検査しないと正確にはわかりません) |
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睡眠時無呼吸症候群には3つの型があります。1閉塞型。これは睡眠中にのどの筋肉が緩み、舌の根元が落ち込んで、空気の通り道が一時的に塞がれることによりおこるもので、肥満の方に多いです。ほとんどの方はこの型です。しかしながら、顎が小さめの方、舌が大きめの方などには肥満がなくてもおきます。2中枢型。脳血管障害などで脳の呼吸中枢が障害されて起こるものです。3混合型。閉塞型と混合型の合併です。 今回はこの閉塞型に焦点をあててみましょう。 症状には、いびき 、起床時の頭痛、日中の傾眠、知性の低下、性格の変化、不眠症などがあります。これらは良好な睡眠の質が得られないことに起因します。 |
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睡眠にはレム(REM)睡眠(浅い眠りで大脳は覚醒に近く、夢はこの時に見ます。眼球が早く動く“Rapid Eye Movement”ことから命名されました。体の筋肉は弛緩しています)とノンレム睡眠(より深い眠り。深さにより1から4までのステージに分類されます)の2つがあります。 |
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人は眠るとまず、ノンレム睡眠に入り、徐々に睡眠が深くなっていきます。しばらくするとまた急に浅くなりレム睡眠(10~20分程度)となります。このサイクルは約90分で一晩に4 ~ 5回、繰り返されます。 ところが睡眠時無呼吸症候群の方は無呼吸が起こるため、夜中に不規則に何度も覚醒し、ステージ3、4などの深い眠りが得られません。ノンレム睡眠は大脳を休ませるために必要な睡眠です。脳が休むアルファ波が出るのはステージ3からなので、深い眠りが得られないことは脳が十分に休めないことを意味します。また、深い睡眠は成長ホルモンの分泌、傷の回復や免疫などにも関連すると言われています。 レム睡眠は脳の情報処理の再構築などに重要とされています。つまり昼間に覚えたことや起きた出来事をきちんと整理して脳にしまいこむ役割をしているとされています。(ちなみに、レム睡眠を筋肉を休ませるための眠りとしていることもありますが、必ずしも正しい表現ではありません)睡眠時無呼吸の方にはこのレム睡眠も得られません。 |
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その他の影響としては、呼吸停止により体内の酸素濃度が下がり、心循環系にも悪影響がでます。不整脈、肺高血圧症(肺性心) 、多血症 、高血圧、浮腫 、インポテンツなどの症状が出現します。 重症の睡眠時無呼吸のある方はこうした心循環系の病気や事故などで、そうでない人に比べて、9年後の生存率が60%程度であるという報告もなされています。 良質な睡眠が得られないことは、大きな問題なのです。 睡眠時無呼吸症候群の最終的な診断はポリソムノグラフィーという装置によります。これは脳波、眼電図、筋電図などにより睡眠の質を解析し、更に、口、鼻の気流、胸の動きなどによる呼吸の状態、動脈血酸素分圧などを睡眠中に計測するものです。一般的には専門医での一晩の入院が必要ですが、在宅で行なえるサービスも一部で始まっています。やや高額なのが難点です。このため、もう少し簡便に行なえるスリープテストがあります。睡眠のステージは正確には測れませんが、器械を貸し出して、御自宅で検査するもので入院は一切不要です。完全な診断には至りませんが、おおまかな推測は可能です。 |
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治療は、程度にもよりますが、呼吸停止をなくすため、気道を開けておくことを目的にした小型の呼吸装置CPAPが一般的です。程度の軽い方には、マウスピース、明らかに閉塞部位があるような方には手術療法などがあります。もちろん、肥満の方には減量が大切です。 気になる点がありましたら、どうぞ医師にご相談ください。 |
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千葉大学医学部卒、日本医師会認定産業医、日本内科学会
日本呼吸器学会、日本結核病学会、日本宇宙航空環境医学会所属